スカッとアメリカ?!逆転裁判をもたらすストーリーは何度見ても爽快!
ルース・ベイダー・ギンズバーグが”RBG”と呼ばれ始めるよりずっと前、当時、まだハーバード大学法科大学院に女性トイレはなく、首席で卒業しても”女性だから”弁護士として雇ってはもらえませんでした。何度も失意と挫折を味わいながらも、ルースは法の下での男女平等を勝ち取るための光を見出します。それは「男性が差別されている」訴訟案件との出会いでした……!
彼女が若き法律家として奮闘した日々を描くと同時にこれは、「死が2人を分かつまで」献身的に愛情深く支えた夫マーティンとの愛の物語でもあります。
本編の最後に生前のルースがカメオ出演しているのも大変貴重で一見の価値があります。
“メダルかじり”市長、「お嬢ちゃんが殴り合い」、「女性がいると会議が長い」
繰り返される炎上・失言・・・その問題の本質とは。
それは、差別をしている人に、差別をしている意識がないことーーそれこそが、本作の主人公ルースが闘った難題です。果たして彼女は問題を認識すらしていない相手をどんな言葉で説得したのか。この映画には、現代人として今知っておきたい事実、今使いたい英語表現が凝縮されています。
信念は社会を変えた!今、学ぶべき偉人といえば、間違いなく”RBG”こと、ルース・ベイダー・ギンズバーグ、この人です。
87歳の最高齢米最高裁判事が、”ポップアイコン”として10代をも熱狂させた?!無自覚な差別とその弊害をわかりやすく説き、米国民の意識を変えた彼女は、まさに現代の偉人。2020年9月18日、惜しまれつつもその生涯を終えた彼女の偉業は、日本を含む全世界で数多くのメディアが報じ続けています。
この映画のキャスト
ルース・ベイダー・ギンズバーグ役:フェリシティ・ジョーンズ(『博士と彼女のセオリー』、『ローグ・ワン』、『インフェルノ』他)
マーティン・ギンズバーグ役:アーミー・ハマー(『君の名前で僕を呼んで』、『レベッカ』他)
この映画の英語について
映画全体を通して、発音の明瞭さ・会話スピードは聞き取りやすく、文法も適切でリスニング練習向き。自分の意見に説得力を持たせたいとき、議論をするとき、あるいは、大学の講義を聴くときなどに役立つ表現が豊富。日常会話から一段階レベルアップしたい学習者に特にオススメの作品です。
リスニング難易度表と目次
スクリーンプレイ編集部が独自に採点したこの映画の「リスニング難易度」評価一覧表です。リスニングのポイントを9つの評価項目に分け、通常北米で使われている会話を基準として、それぞれの項目を5段階で採点。また、その合計点により、映画全体のリスニング難易度を初級・中級・上級・最上級の4段階で評価しました。結果、この映画は総合18点。レベル中級の教材です。
日英見開きページの編集
スクリーンプレイ・シリーズは左に英文、右に日本文の見開きページでバイリンガルの編集です。ト書きもセリフも完全な対象レイアウトですからとてもわかりやすい。左ページの右欄には英単語や文法など英語・語彙にかかわる説明が、右ページの右欄には登場した固有名詞やストーリーの背景、歴史、セリフの意味するところなど色々な方面からの詳しい解説を編集しています。今回も語彙欄・語句解説が紙面いっぱいに掲載されています!
わかりやすい訴訟解説
この作品には、多くの訴訟案件への言及があります。たった一言のセリフでもその訴訟の内容を理解しているかいないかで、英語の理解度が全く異なります。本書では、作品中で言及される訴訟を索引として掲載。わかりやすくまとめました。
学習の総まとめ問題付き!
この作品で英語を学んだあとはご自身の理解度をTrue or Falseでチェックしてみましょう。問題文は本編で出てきた語句で構成されていますので、一冊学び終えたあなたなら、きっと辞書なしで意味がわかるはずです…!解答は本書247にページでご確認ください。
詳しい解説はこちらをクリックしてください
Chapter 1
Ruth is upset about the question she was asked at the Dean’s dinner.(ルースは、学部長の夕食会で尋ねられた質問に腹を立てています。)
Answer:True
ポイント:p.30で、夕食会から帰宅したルースはマーティンに“Come to dinner. The beans will be boiled. The chicken will be stewed. And you will be grilled.”と怒りをあらわにしています。“grill”は、料理方法であると同時に、「(ジリジリと直火で焼かれるように)尋問される」という比喩的な意味を持ちます。女性の学生たちが、豆や鶏肉に続き、夕食会で供されるコース料理の一品のように餌食にされている様をうまく言い表していますね。
Chapter 2
Doctor Leadbetter promises Martin that he will survive cancer and go back to a happy healthy life.(レッドベター医師はマーティンに、彼はガンを克服し、幸せな健康的な生活に戻ることを約束します。)
Answer: False
ポイント:p.50でレッドベター医師はこう言います。“There’s a chance you can go on to a happy healthy life.” There is a chanceは「~の可能性がある」で、助動詞のcanもまた「可能性」を表しています。一方、問題文はpromise「約束する」、さらに確実性の高い未来を表すwillとなっていますので、Falseが正解です。この直後、ルースが、“Jane will have her father. You will be a lawyer.”と断言する意志のこもったwillの使い方にも注目しましょう。
Chapter 3
Dean Griswold rewards Ruth with a Harvard law degree.(グリスウォルド学部長は、ハーバード法科大学院の学位をルースに与えます。)
Answer: False
ポイント:p.62でグリズウォルドはこう言います。“I can’t force you to stay. But I won’t reward you for leaving either.” reward は報酬を与えるという意味です。ここでは否定文ですね。この場面でルースの要望は却下されますが、のちの場面では、反対に訴訟を取り下げて欲しいというグリズウォルドの要望をルースが跳ね除けるという構図に変わります。これは、p.130でルースが敬愛するドロシー・ケニオンが言う「くださいと頼むのではなく、要求せよ」という言葉が伏線になっているといえます。
Chapter 4
Ruth teaches the legal rights of gnomes and fairies at Rutgers Law School.(ルースは、ラトガーズスロースクールでノームと妖精の法的権利を教えています。)
Answer: False
ポイント:p.74でルースはこう言います。”Some of my colleagues will tell you that…I may as well be teaching the legal rights of gnomes and fairies.” 当然、これはルースに向けられた同僚からの揶揄・皮肉です。
Chapter 5
Mel thinks working with young children is harder than working at ACLU.(メルは、幼い子どもたちと一緒に働くことは、ACLUで働くことより難しいと考えています。)
Answer: True
ポイント:p.104でメルはこう言います。”…for all you who think this job is hard, I judged the thirteen and unders with a color war trophy on the line.” メルはACLUの職員ですので、this jobはworking at ACLUにあたります。比較構文ではありませんが、「僕は、勝ちたい一心の13歳以下の子どもたちの審判をしたことがあるんだぞ」と言うことで、「どっちが大変かわかるよな?それに比べればこの仕事は易しいものだ」と言外の意味を込めているのです。
Chapter 6
Ruth believes Jane deserves an A for her writing skills.(ルースは、ジェーンの文章力がA評価に値すると信じています。)
Answer: True
ポイント:p.122で“This is an A paper.”とルース以外からは高く評価されていることを主張するジェーンに、ルースは”Of course it is. You’re a beautiful writer.”と答えます。ここのbeautifulは語句解説にもある通り、外見的な美しさではなく、行為などあらゆるものに対して「申し分ない」「非の打ち所がない」という意味です。つまり、ジェーンは文章力だけで十分A評価が得られることを認めているのです。
Chapter 7
Millicent has to type the brief again because she has mistyped.(ミリセントは、打ち間違えてしまったため、弁論趣意書を打ち直さなければならない。)
Answer: False
ポイント:p.144でミリセントはsexという語をgenderという控えめな語に置き換える提案をします。当時はタイプライターを使用していて、現代のPCのように、DeleteボタンやBack Spaceで簡単に修正はできず、間違えや修正は正しい部分も含めて打ち直す必要がありました。さらに彼女は、”I’m happy to type it again.”と言いますが、happy to doは「喜んで~する」という意味ですので、問題文はFalseということになります。
Chapter 8
At the moot court, Mel points out that Ruth must focus on her client’s argument.(模擬裁判で、メルはルースが彼女の依頼人の主張に集中しなければならないと指摘します。)
Answer: True
ポイント:p.180でメルは”Look, you either make this case about one man, or you lose.”と強く言います。one manとはここでは依頼人のモリッツのことです。either … or ~は「…か~かどちらか」という二択の表現として使われます。ここでのようにorがつなぐものがそれぞれ独立した節であるとき、orの前にコンマを置きます。この模擬裁判での苦い経験が、クライマックスの場面で、その場にいる全ての人の関心を話術でしっかりと掴んだタイミングで主題のモリッツの主張をする、という戦法に生かされているのもおもしろいですね。
Chapter 9
Ruth says she is obligated as Mr. Moritz’s lawyer to convince Moritz to take the offer.(ルースはモリッツの弁護士として、モリッツに提案を受けるよう説得する義務があると言います。)
Answer: False
ポイント:p.198でルースが言うのは”As Mr. Moritz’s lawyer, I’m…I’m ethically bound to convey him the offer.”です。boundはbind「縛る」、「~する義務を負わせる」の過去分詞ですので、obligateとほぼ同義ですが、問題文でポイントなのはconveyです。ベルトコンベヤーを想像していただけばお分かりになると思いますが、conveyの主な意味はただ「運ぶ」こと。つまりここでのように運ぶものが「提案」であればただ「伝える」だけという意味なので、「説得」の要素はありません。ちなみにベルトコンベヤーは、英語ではconveyer beltと言うのが一般的です。
Chapter 10
Judge Doyle asks Martin to make a claim including categories other than the tax matter.(ドイル判事はマーティンに税務以外のカテゴリーを含む主張をするように言います。)
Answer: True
ポイント:マーティンとドイルの一連のやりとりを聞き、p.214でブラウンは”There’s some help. He’s asking him to make a broad categorical claim.”とほくそ笑みます。ブラウンのセリフの主語のHeはドイル判事、目的語のhimはマーティンを指しています。模擬裁判ではあんなに頼もしかった敏腕弁護士のマーティンが…?!と視聴者はハラハラしてしまうシーンですね。p.182で決めたMartin goes first, focuses the argument on tax. Then Ruth steps in, talks about gender.という戦略が台無しになる危機です。
コラムと奥付
この書籍には、冒頭カラーで印刷された「この映画について」などの定番テーマを含むコラムが収録されています。その他、本書の製作に関わった人々はすべて奥付に紹介しています。
書籍情報
監 修: 子安惠子
仕 様: 四六変形判、256ページ
定 価: 1,600円(本体価格)
発行日: 2021年9月18日
出版社: 株式会社 フォーイン
スクリーンプレイ事業部
ISBN 978-4-89407-613-6
映画情報
原題: On The Basis Of Sex
監督: Mimi Leder
出演: Felicity Jones/Armie Hammer
制作: 2018年
評価項目 | 易しい → 難しい | 会話スピード | 12345 |
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発音の明瞭さ | 12345 |
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アメリカ訛 | 12345 |
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外国訛 | 12345 |
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語彙 | 12345 |
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専門用語 | 12345 |
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ジョーク | 12345 |
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スラング | 12345 |
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文法 | 12345 |
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合計 | 18点(中級) |
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